“コロナ明け”だからこそ注意したい健康トラブル<3>【毒虫】拡大中のマダニ対策を徹底したい
毛虫、ハチ、クモ、ムカデなど毒針や毒毛で人に被害を与える毒虫はたくさんいるが、中でも警戒すべきは「マダニ」だ。クモに近い節足動物の仲間で、大きさは数ミリ~1センチ程度。野山や公園の草木から人間に寄生し、皮膚に長い顎を突き刺して吸血する。
非常にまれではあるがSFTSウイルスを媒介し、致死率20%を超える「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を引き起こすケースもある。2021年は110人が感染し8人が死亡、2022年は118人が感染し9人(7月時点)が亡くなっている。
これまでの感染例は西日本が中心だったが、ここ数年は静岡、千葉、東京でも確認され、感染エリアは広がっている。実際、マダニは全国に広く生息していて、ウイルス媒介はないが噛まれるケース自体は珍しくない。
「皮膚に取りついたマダニは、数日から1週間以上にわたって血を吸い続け、満腹になると離れます。マダニの唾液には麻酔様物質が含まれているため、痛みをほとんど感じません。当院ではマダニに噛まれた患者さんが毎年2~3人は来院されます。黒っぽいイボができたと訴えていた患者さんを診察すると、血を吸って体が膨らんで黒っぽく変色したマダニだったというケースもありました。マダニはノコギリのような歯がある顎を皮膚の奥に差し込むため、無理に引き抜こうとすると歯だけが体内に残ってしまい、炎症を起こしたり、腫瘤状になるリスクがあります。噛まれた場合は自分で何とかしようとせずに皮膚科を受診し、専用の器具で除去してもらってください」