認知症を発症してからもお酒は飲んでいいのか…注意点は?
お酒を飲む際は、必ず食事も一緒に取りましょう。空腹状態でお酒だけ飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収されやすい。その結果、血中アルコール濃度が急激に上昇し、酔いが回りやすくなります。肉や魚などの動物性タンパク質や緑黄色野菜など、栄養バランスの取れた食事を併せて取ると、アルコールは胃の中で長時間とどまりやすく、分解される量が増えて体内に吸収される量は減ります。
また、「風呂上がりの一杯」なんて言葉もありますが、入浴後は血管が拡張して血流が良くなります。アルコールが全身に回りやすいので避けてください。
認知症にかかわらず、高齢になると加齢により肝臓の代謝機能が低下します。肝臓でお酒を代謝しきれなくなると血流と共に全身へ巡り、脳にも直接悪影響を与えやすくなるので注意しましょう。
また、お酒は血圧や血糖を上げる作用があります。認知症に加えて高血圧や糖尿病、脳梗塞を患っている方は飲み過ぎないよう、特に気を付けてください。
▽井関栄三(いせき・えいぞう)1979年新潟大学医学部卒業後、同大学大学院進学。84年横浜市立大学医学部精神医学教室入局、2010年順天堂大学医学部精神医学教授を務めたのち、16年シニアメンタルクリニック日本橋人形町を開院し、院長を務める。