著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

鼻水の「色」によって抗生物質を使うのは誤り? 米国医師会雑誌が報告

公開日: 更新日:

 風邪症状が長引く原因のひとつが副鼻腔炎、いわゆる「蓄膿(ちくのう)症」です。鼻の奥の副鼻腔と呼ばれる空洞に細菌などが増殖して炎症を起こし、膿(うみ)がたまるのです。

 蓄膿は鼻詰まりや頭痛の原因になりますし、喉の奥に流れ込んだ鼻汁が、咳や痰がらみなどを起こす場合もあります。長引く蓄膿はぜんそくを悪化させたりすることも知られています。

 通常、細菌感染に伴う蓄膿に対しては抗菌剤(抗生物質など)が使用されます。一番多く使われるのは抗生物質のペニシリンです。

 ただ、“どういう患者さんに抗菌剤を使用するべきか”という点については、まだ専門家でも見解が分かれています。透明な鼻水に色が付き、黄色や緑色の粘稠(ねんちゅう)な状態になることは蓄膿の特徴のひとつとして考えられています。

 それでは、そうした症状があれば抗菌剤を使用してよいのでしょうか? 今年の米国医師会の医学誌に、小児の蓄膿症に対して、鼻水の色で抗菌剤を使用した場合と、鼻汁の細菌培養検査を行って原因となる菌が検出されたときに限って抗菌剤を使用した場合とを比較した、臨床試験の結果が報告されています。

 それによると、培養で菌が検出された場合に限って抗菌剤を使用すると症状が早く改善しましたが、鼻水の色が変わった場合に抗菌剤を使用しても、そうした改善効果は見られませんでした。鼻水の色での診断は、実際にはあまり当てにはならないようです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に