森大祐
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森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

「PRP療法」肩関節の治療では手術と組み合わせてこそ有効

公開日: 更新日:

 今回は肩関節治療における高いエビデンス(研究レベルで有効性が高い)を得られた治療を紹介します。

 肩の腱板が断裂する腱板断裂の治療においては、PRP療法の論文が数多くあります。その中で権威ある雑誌(実績のある医学者の評価を受けた論文が採択される雑誌)で発表された論文を2つ紹介します。

 Zhangというアメリカの医師が腱板断裂の患者さんに対し、腱板断裂の修復をするグループと、手術かつPRP療法をする群を比較しました。すると、再断裂率と腱板断裂した筋肉の回復の点では、手術かつPRP療法をした群が勝っているとの結果でした。

 Coryというアメリカの医師が2021年に、腱板不全断裂(腱が少しだけ断裂)している方を2群に分け、一方はPRP療法を、もう一方はステロイド注射を実施。その結果を比較した研究をArthroscopyという雑誌に報告しています。それによると、PRP療法の患者さんの方が3カ月の時点では疼痛が軽快した患者が有意に多いという結果でした。

 しかし、断裂した腱板がPRP療法で修復、つまり再生して疼痛が軽快した研究結果は見当たりませんでした。アメリカなどの研究が盛んな国の研究者は、現時点ではPRP療法は手術した腱板の補強には有効で手術との組み合わせは勧めていますが、腱板の再生には疑問を投げかけているというものでした。

 これらの研究結果は、PRP療法を受けるかどうかを決めるときの参考になると思います。

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