森大祐
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森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

野球の「肘靱帯損傷」重症例にはPRP療法をお勧めできない

公開日: 更新日:

 これまでのコラムで、PRP療法では病気の重症度で効果が異なることをお話ししました。

 例えば変形性膝関節症の場合、軟骨損傷の程度が重症なケースでは、PRP療法では改善しないといっても過言ではありません。

 では、野球の肘靱帯損傷では? 日本人でメジャーリーガーの選手になった方が何人もいますが、ある選手が肘靱帯損傷で以前PRP療法を受けられたことが報道されています。

 肘靱帯損傷の野球選手の投球復帰について、OJSMという雑誌で2021年、MiiLL医師が研究内容を報告しています。この研究はフロリダのアンドリュー研究所が行ったもので、同施設はアメリカでも指折りのスポーツ医学研究所であります。

 その内容は靱帯損傷が軽度で、かつ完全断裂であっても1カ所くらいは断裂せずに残っている場合において、PRP療法による復帰率は6割以上。これらの人は、靱帯損傷の手術も回避できました。

 一方、靱帯損傷の程度が強い場合にはPRP療法は効果がないということ。以前お話しした膝軟骨損傷のケースと同じですね。

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