森大祐
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森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

難治性のテニス肘には「PRP療法」ただし強い痛みを覚悟の上で

公開日: 更新日:

 PRP療法の効果が高いといわれているのは、「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」です。主に長橈側手根伸筋という、中指を伸展させる腱の上腕骨に付着している部分が損傷する病気です。

 手首を伸ばす筋肉に炎症が起きるので、ものをつかんで持ち上げる動作や、タオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前側にかけて痛みが生じます。“テニス”という名前がついていますが、テニスプレーヤーに限らず、ほかのスポーツや家事で発症することもあります。

 テニス肘は多くの人が薬物治療や注射療法により軽快しますが、使いすぎや痛みが出る動作を続けていると、治りにくくなる方もいます。そのような難治性の方には、世界中の肘関節外科医の間での討議の結果、現在はステロイドの注射療法は効果がないというコンセンサスが得られています。

 ただし、PRP療法は有効です。PRPの成長因子が、肘の腱の損傷部位をメンテナンスし、しっかりした腱の修復を促します。

 問題はPRPを注入した後、しばらく強い痛みが続くこと。皮膚と組織の中は空洞ではありません。関節腔内に注射をする場合にはあまり痛みがありませんが、腔がないテニス肘治療では、PRP療法で濃度の高い血小板を入れるために内圧が高まります。

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