中川恵一
著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

朝潮に続きKANさんも…小腸がんをしっかり見つける検査の手順

公開日: 更新日:

 心配ないからねー、君の想いが♪ シンガー・ソングライターのKANさん(本名・木村和=きむら・かん、享年61)が急逝され、ニュースなどでピアノのメロディーラインとともに大ヒット曲「愛は勝つ」が流れると、当時を思い出す方もいるでしょう。私もそのひとりで、とても残念です。

 訃報によると、KANさんの命を奪ったのはメッケル憩室がんといわれます。メッケル憩室は、胎児と母体を結ぶ卵黄管がまれに出産後も回腸の近くに残り、腸の壁の外側にモチが膨らむように飛び出た突起物です。この名称は、19世紀に発見したドイツの解剖学者に由来します。袋状で発がんなどの物質がたまりやすく、そこががん化したのがメッケル憩室がんです。

 生まれつきメッケル憩室ができるのはせいぜい2~3%。さらにがん化するのは1%前後とされますから極めてまれ。先日、元大関朝潮の長岡末弘さん(享年67)が小腸がんで亡くなりましたが、回腸は小腸の一部で、メッケル憩室がんも小腸がんのひとつです。

 小腸にがんが少ないのは、いくつか理由があります。ひとつは、小腸が人体最大の免疫器官で、免疫細胞のおよそ半数が集まり、がん細胞などを未然に攻撃していること。もうひとつは24時間程度で細胞が生まれ変わる新陳代謝の速さ。大腸はそれにほぼ1カ月を要しますから、その差は歴然でしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し