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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

KANの告白で話題 「メッケル憩室がん」は転移なければ手術で治癒も

公開日: 更新日:

「愛は勝つ」などのヒット曲で知られるシンガー・ソングライターのKANさん(60)が、メッケル憩室がんであることを公表し、話題を呼んでいます。聞きなれない病名だけに、皆さんも驚かれたかもしれません。

 憩室は、腸などの壁の一部が袋状に飛び出た突起物で、メッケル憩室は小腸の中間部分にあります。19世紀にドイツの解剖学者が初めて正確な記録を残したことから、その名前をとって名づけられました。

 妊娠すると、卵黄管と呼ばれる管が胎児の小腸とへその緒をつないでいます。その管は通常、妊娠7週目くらいまでに閉鎖されますが、閉鎖されずに残ると、メッケル憩室になるのです。

 消化管にできる形態異常としては最も頻度が高く、大体2%前後。胎児期の遺残物なので、後天的に発生することはありません。

 ほとんどは無症状で、症状が見られるのは4%ほど。主な症状は腹痛と下血で、KANさんも昨秋、腹痛の原因を調べたことが診断のキッカケになりました。

 患者さんによって出血、腸閉塞、憩室炎を起こすタイプに分かれます。出血は、一度に大量に出やすく、痛みなどもなく突然発症するのが特徴です。

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