【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】抗菌薬で腸内細菌が殺菌されることで発症
ディフィシル菌による下痢症や腸炎の治療では、まず誘因となった抗菌薬の投与を中止し、改善が認められない場合や症状が重篤な場合は、メトロニダゾールやバンコマイシンといった抗菌薬の投与が行われます。バンコマイシンは苦く服用しづらいという患者さんも多いことから、バンコマイシンを単シロップなどで溶解して飲みやすくする処置もよく行います。
ディフィシル菌がやっかいなのは、再発を繰り返しやすいところです。また、乾燥や熱に強く、環境中で長時間生息すると同時に、多くの消毒薬(アルコールも含む)に抵抗性を持っています。そのため、病院や介護施設などにおいて、発症患者から伝播した集団発生(院内感染)も多く報告されています。
オムツ交換も伝播の原因になりえるので、使用した手袋やエプロンは感染性廃棄物処理を徹底する。排泄物が付着したリネン類は速やかに交換する……などといった対策が必要です。また、アルコールによる手指消毒薬は効果が期待できないため、せっけんと流水による手指衛生を徹底することも大切です。