著者のコラム一覧
黒﨑弘正江戸川病院放射線科部長

江戸川病院放射線科部長。1995年、群馬大学医学部卒。医学博士。日本専門医機構認定放射線専門医、日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医。JCHO東京新宿メディカルセンターなどの勤務を経て2021年9月から現職。

膵臓がん治療における「手術」と「放射線治療」の選択

公開日: 更新日:

 前回、残念ながらみなさんが期待するほど膵臓がんに有効な化学療法が存在しない、とお話ししました。では、実際に膵臓がんになって、手術と放射線治療のどちらかを選ぶよう、医師に言われた場合にはどうすればよいのでしょうか?

 臓器の奥に隠れて、血管に囲まれている膵臓がんを手術で完全に切除するのはなかなか困難なことが多いです。一方、放射線治療のこの四半世紀の進歩は著しいものがあります。放射線治療のための医師の集まりに参加すると、「(胃がんを除いて)もう手術はいらない」と話される放射線治療医の先生もおられます。ある面、私もそう思っていたり、自分が実際にがんになったら、手術は考えず放射線治療を選択するのではないかと思ったりします。

 では、手術のメリットはないのでしょうか? 「現在、膵臓がんに有効な化学療法は存在しない」とお話ししましたが、近年の抗がん剤や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬の発展は目覚ましいものがあります。膵臓がんのタイプによっては、新たな知見が得られて有効な化学療法とされることもあります。


 その際は組織診断が必要で、十分な検体量を得るためには手術が必要な場合があります。実際、「がんであることを確定する目的として行った針生検の標本」と「その後に根治を目指して行われた手術で得られた大量の標本」では、得られるデータがちょくちょくずれる場合があるのです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ