クスリに施されている「コーティング」にはちゃんと意味がある
特殊なコーティングもあります。クスリの多くは胃で溶けて、小腸などから体内に吸収されることで効果を発揮しますが、中には胃で溶けてほしくないクスリもあります。胃酸で分解されるものや、胃にダメージを与えるものなどが該当します。それらは、小腸から分泌される腸液で溶けるようなコーティングがされています。これを「腸溶錠」といい、小腸に到達するまでコーティングによって溶けることがないため、前述したデメリットを回避できます。
さらに、クスリの成分が溶け出すのをゆっくりにしてくれる特殊なコーティングもあります。このコーティングがされているクスリは、1回の服用で長時間効果が持続するという特徴があり、1日の服用回数が少なく済むようにできます。こういった特殊なコーティングがされているクスリは分割や粉砕はできない場合がほとんどです。
コーティングされているクスリのほとんどは錠剤なのですが、カプセルや顆粒(かりゅう)にもコーティングされているものがあります。ただし、カプセルの場合は厳密にはカプセルそのものではなく、その中に含まれている顆粒がコーティングされており、その理由のほとんどはクスリの成分が溶け出すのをゆっくりにするためです。
普段、何げなく服用しているクスリですが、中身(成分)だけでなく外側にもさまざまな工夫が施されています。改めて自分が服用しているクスリをよく観察してみてはいかがでしょうか。