「鉄分」が不足すると心臓にとって大きなマイナスになる
「鉄分」の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者さんの30%以上は鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血が合併していると報告されていて、貧血を合併している人は、貧血が合併していない人と比べ、全死亡や心不全による再入院率が高いという研究結果が出ています。また、心不全患者の鉄分不足を治療すると、再入院率とQOL(生活の質)が改善されるという報告もあります。
鉄分は、赤血球に含まれるタンパク質のヘモグロビンを合成するために欠かせない物質で、不足するとヘモグロビンが十分に作られなくなって貧血が引き起こされます。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っているため、貧血になると細胞が酸欠状態になり、疲労感、倦怠感、立ちくらみ、息切れ、動悸、めまい、頭痛などさまざまな不調が現れるのです。
貧血が起こる原因はさまざまですが、その70~80%は冒頭で触れた鉄分不足による鉄欠乏性貧血で、多くは体から血液を失う要素がある人に生じます。たとえば、歯茎にトラブルがあったり、痔があって頻繁に出血しやすいとか、消化管など体内のどこかで出血しているとか、女性であれば生理の際の出血量が多いと起こるケースもあります。