認知症と診断されたら、これからどうすればいいのか?
「薬以外の対策」が重要…進行を遅らせることができる可能性
認知症で軽度と診断された場合、薬物治療と同等、いえ、場合によっては薬物治療を上回るほど重要だと考えているのが、「薬以外の対策」です。これをしっかりすることで、認知症の軽度から中等度へ移行するのを遅らせることができます。長谷川式など認知機能の程度を調べるテストの結果が、認知症の軽度から、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)になる方もいます。
人との交流、聴力や視力のチェックと改善、日々のストレスの減少、好きなことへの取り組みなど効果的な方法はいくつもあります。意外にスルーされがちなのが、生活習慣病の治療です。糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病がある方は、それらの治療を受け、数値を正常レベルまで引き下げ維持するよう努めてください。
生活習慣病には食生活の改善が欠かせません。塩分が多く脂っこく、砂糖をたくさん使っている料理は控えめに。肉、魚、野菜とバランスよく摂取するようにしてください。
質の良い睡眠を取ることも、ぜひ忘れないようにしてほしいですね。睡眠は脳の休息。不十分だと、アミロイドβが蓄積されやすくなります。
年を取るとどうしても眠りが浅くなってしまいますが、「日中の活動量が少ない」「変な時間に昼寝をしている」といったことが、睡眠の質に影響を与えている可能性もあります。
どうしても質の良い睡眠を取れないようなら、自然な眠りを得られる睡眠導入剤も今はありますので、主治医に相談してください。なお、「睡眠薬を使い始めたら、手放せなくなる」というのは、間違った思い込みです。
認知症になると、意欲が低下し、家にこもりっぱなしになってしまう方も。活動量の少なさはフレイルやサルコペニアの原因にもなりますし、認知機能低下を進行させます。運動中心のデイサービスなど楽しんで体を動かせるようなところを探して、家の外に出かけるようにしてほしいと思います。