認知症で舌がん…対話困難な患者とどう信頼関係を構築していくか
舌がんは会話がしづらくなるだけでなく、食事をすることも困難になります。人間の生活は食べることや話すことに大きく依存しているため、それが難しくなることでのストレスは計り知れません。
この患者さんは訪問看護とリハビリに励んでいましたが、もともと警戒心が強いため、訪問してもその日の機嫌によっては追い返されることもありました。
さらに、「治療してもまったく良くならない」とネガティブな噂を近隣に広められたこともありました。
実は、医療スタッフとのコミュニケーションや信頼関係の構築が難しい患者さんは、訪問診療において珍しくありません。そして、そうした患者さんほど、自分の思いを伝えきれずに抱え込んでいることが多いのです。だからこそ、病院とは違う環境である在宅医療を選んでいるのかもしれません。
私たちは、そんな患者さんの思いに寄り添い、丁寧に話を聞くことが、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上につながると信じ、日々努めています。