【屋台ラーメン しゅんやっちゃん】(東京・高尾)見よ、このクオリティーの高さ!
チャルメラの音色に誘われて、屋台のパイプイスに腰を落ち着け、ラーメンをすする。昭和生まれにとっておなじみの光景は、いまや“絶滅危惧種”になりつつあるが、それでも人気を集める屋台ラーメンもある。人情も味のうち。今夜は、屋台で〆よう。
JR中央線快速の終点高尾駅南口を出れば、すぐ近くに高尾山を望む。そんなハイカーに人気のエリアで夕暮れ時になると、一台の屋台が赤ちょうちんをともし、湯気が立ち込める。絵になる名店が「屋台ラーメン しゅんやっちゃん」だ。
18時の開店前に行列ができる。先頭の60代男性は「最高の一杯を食べるために山に登ってから訪れた」と、開店1時間前に並んだという。
「大好きだった八王子ラーメンの名店『香味屋』が数年前に店を畳んで。その味をどうしても高尾で復活させたくて3年前に出店しました」
そう話すのは店主の落合俊哉さん(42)。“屋台の主人”というより“ストリート系”といった風貌。それもそのはず。20代はラッパーKREVAのマネジャーを務め、その後、夢だった飲食業界に参入。現在は焼き肉店やカフェ、弁当屋など4店舗を経営する異色の経歴の持ち主だ。
人気ナンバーワンはチャーシュー麺(950円)で、味玉(100円)をトッピングして注文した。丼を待つまでの数分間、山風に吹かれるのもおいしさを増す“舞台装置”とすれば悪くない。一口すすって納得! 醤油ベースのスープはパンチが効いている。その上に浮かんだ光り輝くラードを、八王子ラーメンの定番「刻みタマネギ」が見事に中和。見た目も味も屋台のクオリティーをはるかにしのぐ。