パリ五輪「馬術団体」銅メダルは競馬ファンのおかげ? 92年ぶり快挙の陰にJRAの強力後押し
助成金8億円で選手・コーチを強化
一方、オリンピックで勝つには、選手だけの力だけではできない。馬術はJOC(日本オリンピック委員会)が指定する強化スタッフが62人。コーチ15人、マネジメントスタッフ24人、情報・戦略スタッフ21人、医療・科学スタッフ2人という構成だ。このように選手の数倍のスタッフを含めてチームが一丸とならなければ勝てないのだ。
大会に選手を派遣する公益社団法人「日本馬術連盟」への助成金収益も増えている。今年度は全体で7億9768万円。東京五輪が開催された21年の13億3539万円には及ばないが、10年前の14年度の2億8851万円に比べれば2.7倍以上。今年度の助成金のうち最も多いのは、国から出る「競技強化等推進支援事業助成金」の5億5080万円。次いでJRAからは1億4815万円、JOCから6923万円の助成金をもらっている。
「今回銅メダルを獲得いたしました総合馬術チームの4人ですが、全員が馬術の本場であるヨーロッパに拠点を置き、トレーニングを実施しております。特にこの4人は、リオデジャネイロオリンピックから一つのチームとしてイギリス・ドイツでトレーニングを積んでまいりました。また、日本中央競馬会(JRA)から支援をいただき、海外の高いレベルの環境の中で活躍出来る馬達を貸与できたことも良かったと考えております。加えて、馬術競技は奥が深く、経験の積み重ねが選手の競技力向上と成績に影響する競技種目であるため、今回の総合馬術選手全員が、30代.40代のベテランであったことも今回のメダル獲得につながったと考えております。また、次世代の養成ですが、大学生の競技会等での成績上位者を『プログレスチーム』として位置付け、彼らを対象に強化合宿を開催(今年度は、3月に兵庫県三木市の三木ホースランドパーク、8月に山梨県の馬術競技場で開催)する等で、若手選手の育成に取り組み、更にその中でも更なる有望者に対しては、海外で活躍した優良馬を国内若手有望選手に貸し付けることや、海外合宿に派遣して本場の総合馬術を体験させる取り組みも行っています。日本馬術連盟は、選手やコーチの海外遠征費用等の一部を援助することで、これらの取り組みを支援しております。」(日本馬術連盟の担当者)
92年ぶりのメダル獲得の模様はNHKや民放の同時放送がない中、JRAの関連法人である「グリーンチャンネル」で無料放送された。身銭を切って応援するJRAの強力な後押しがあったればこその快挙。繰り返すが、それは競馬ファンの後押しでもある。