大谷翔平はなぜワールドシリーズで活躍できなかったのか…ハワイで現地英語TV中継を見ながら考えた
大谷が二塁へ盗塁した際、左肩を痛めたのに強行出場したことが「美談」のように報じられたようだが、その前から大谷には気迫が感じられず、どこかうつろな表情が、私には気になっていた。大谷にとって最大の夢であった9月をヒリヒリする思いで過ごし、WSにまで出場できたことで、「燃え尽き症候群」になってしまったのではないのかと。
帰国して驚いたのは、優勝が決定した翌日の紙面だった。「世界一大谷『最高の1年』」(スポニチ11月1日付)。たしかに大谷にとって最高の1年になったが、WSではただの1番を打つ人でしかなかった。肩のケガもフリーマンに比べれば……。
大谷もスーパーマンではないことが証明されたWSであった。野球そのものの面白さを伝えず、無批判に大谷を持ち上げるだけの日本のメディアは、結果的に、野球というスポーツを貶めていることに気付くべきである。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)