シャッポのすげ替えではどうにもならない 八方塞がりで再選出馬断念 絶望的な自民党の今後(上)
改造も出来ず、麻生にも切られ、「勝てないから出ない」が真相
岸田が再選出馬を断念したのは、要するに「勝てない」と判断したからだ。実際、このまま総裁選に突っ込んだら、大敗する可能性が高かった。
岸田の再選シナリオは、まず麻生派55人を率いる麻生副総裁から全面支援をとりつけ、そのうえでもう一度「岸田─麻生─茂木」の3頭体制を組むことだった。頼みの綱は麻生だった。ところが、最後まで麻生から「岸田支持」の言質を取れなかったという。
ライバルを取り込むための「内閣改造」も試みたが、実現できず、八方塞がりとなって、政権を放り投げたのが実情である。
ジャーナリストの山田惠資氏はこう言う。
「岸田首相は『総裁選に出馬しても勝てない、このままでは負ける』と判断したのだと思う。票読みすると1回目の投票で3位になる可能性もあった。岸田さん本人は、たとえ1回目の投票で2位になっても、上位2人の決選投票で1位になればいいと考えていた可能性もありますが、さすがに3位ではどうにもならない。出馬を断念するしかなかったのでしょう」
現職総理が総裁選で負けたのは、過去に1度しかない。もし、地方票をほとんど獲得できず、3位に沈んだら、岸田は政治生命を失ってしまう可能性もあった。
「総裁選で惨敗したら、岸田首相は総理総裁の座を失うだけでなく、政界での影響力を完全に失ってしまう恐れがありました。だったら、総裁選に出馬せず、退陣後も力を残した方が得策と計算したとしてもおかしくありません。実際、40人を超える岸田派をキープしていれば、この先、岸田首相はキングメーカーになる可能性があります。岸田首相は意外にしぶといですからね」(山田惠資氏=前出)