芝コート戦術にも限界が…棄権の錦織に突きつけられる課題
通常、芝のコートはハードコートやクレー(赤土)に比べて球足が速く、ボールが弾まないため、錦織の得意なラリー戦にはなりにくい。4大大会のひとつであるウィンブルドンは5セットマッチという長丁場でもある。
球足が遅くラリー戦になりやすい全仏オープン終了から、コート条件がガラリと変わるウィンブルドンまでわずか3週間。トップ選手は短期間で条件の変化にアジャストし、サーブ&ボレーを駆使しながら試合時間を短縮、中1日の連戦に備えて体力の温存も図る。そこへいくと錦織は芝のコートでもなかなか前には出ず、ラリー戦に持ち込む傾向が強い。左右に振られると滑りやすく、フットワークに負担がかかる芝コートで試合が長時間に及べば、おのずと体力も消耗する。
現在世界ランク1位のジョコビッチを含むいわゆる「ビッグ4」は、今大会での戦い方を熟知しているからこそ、初戦は4選手とも3-0のストレート勝ち。ジョコビッチは2回戦も同様に1セットも失わなかった。リスクを恐れず積極的に前に出る短期戦で制し、それが体力温存にもつながっている。
錦織もビッグ4の後を追うためには、徹底したサーブ&ボレーの習得が必須。そうやって序盤は省エネで切り抜ける戦術が必要だ。それができなければ、連戦や長時間の試合にも耐え得る超人的なスタミナをつける。持っている引き出しを増やさない限り、ウィンブルドンでは勝てない。