“魔の81kg級”にのまれ…柔道・永瀬貴規は笑顔なき銅
高まった期待が一気にしぼんだ。
9日(日本時間10日)に行われたリオ五輪男子柔道81キロ級で永瀬貴規(22)がまさかの準々決勝敗退。袖釣り込み腰で有効を奪われ、そのまま逃げ切られた。
前日、73キロ級の大野将平(24)が優勝。日本男子として2大会ぶりとなる金メダルを獲得し、旭化成の後輩にあたる永瀬が勢いを加速させるはずだった。井上康生男子監督が、大野と並んで「金メダルに最も近い男」と期待した世界選手権王者のまさかの敗戦。永瀬は茫然自失の体だった。
敗者復活戦に回り、大外刈りで一本勝ち。3位決定戦で世界ランク1位のチリキシビリに押し込まれながら、終了間際に大内刈りから浴びせ倒して有効を奪って銅メダルを確保したが、硬い表情で畳を下りた。
「悔しい気持ちはたくさんあるが、気持ちを切り替えてなんとか銅メダルは取れた。4年後のオリンピックで一番いい色のメダルを取りたい」
81キロ級は「魔の階級」だった。五輪では3大会連続でメダルなし。世界選手権でも永瀬が王者になった昨年まで、日本勢はひとりも優勝者を出していなかった。世界的にもレベルの高い階級に、「金メダルに最も近い男」もはね返された。