琴ノ若が史上初の3代関取に 大相撲で親子関取が少ないワケ
昔は「進学はせず、相撲で一旗揚げる」と、出稼ぎ目的で力士になる者も多かった。だからこそ、我が子には「大学くらいは出てもらいたい」と思うのが人情というもの。まだ暴力指導がまかり通っていた時代とあれば、なおさらだ。「力士は叩き上げが一番」と言う親方が子供に相撲を取らせず、大学に進学させるのも理解できる。
それでも、親子力士は徐々に増えてきている。現在は他のスポーツと同じように、親方衆も稽古の意図などをかみ砕いて教える傾向にある。大学相撲を経て、角界入りする親方も増えてきた。昨年は大卒力士だった尾上親方(元小結浜ノ嶋)の息子や、元関脇黒姫山の孫といった力士が相撲部屋の門を叩いている。大鵬の孫で貴闘力の息子の納谷も、幕下ながら将来が期待されている。
「90年代の若貴ブームの影響も大きいですね。親子関取どころか、子供2人が横綱ですから。地方地方で身体能力に優れた子をスカウトしていた時代と違って、今は太りすぎて他のスポーツができないから相撲を選んだ……という力士が少なくない。そうした子らに比べれば、2世力士は親の血を引いており、父も親方なら環境にも恵まれている」(前出の中澤氏)
新弟子の質、量ともに下がっている現在、親方の子供が力士にならないのはもったいない話だ。