有利な阪神になぜ…腰痛エース菅野“特攻登板”は意思なのか
腰痛で離脱していた巨人のエース菅野智之(29)が8日、一軍に合流した。
東京ドームで宮本投手総合コーチと面談。9日から始まる阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで復帰することが決まった。9月16日に登録を抹消されていた。
原辰徳監督(61)は「状態? いいから(ここに)来たんでしょ」と言えば、宮本コーチも「どうだ?大丈夫です。投げられます。よし分かった、と。本人の意思を尊重した。智之が帰ってくるだけで他の投手が安心する」と歓迎した。
11日の第3戦での先発が決まった菅野は「与えられたところで頑張っていく。自分の仕事がしっかりできるような準備をしてきたつもり。自分に期待したい」と腕をまくったが、不安は残る。
■「腰の状態は100%なんじゃない?」
今季は腰痛で3度の抹消を経験。やっと完治したのか。宮本コーチは「腰の状態は何%? 分かんない。本人に聞いてよ。いけます、と言ってきたわけだから100%なんでしょう。80%ならやめさせるし、100%だと思って投げさせようと思っている」と本当の状態は把握していない様子。「ブレーキを踏む側だけど、最終的には本人の意思なんで」とも言ったが、これでは責任感が強いエースは「いけます」と言うに決まっている。本人の言葉をうのみにし、決断も本人任せ。見切り発車の復帰ともっぱらなのだ。
菅野は約1カ月前の9月4日の中日戦で2回4失点KOされ、登録を抹消された。もちろん腰痛が原因で、チームが優勝争いをする中、最短の10日間で15日の阪神戦で復帰したものの、異変を訴え4回4失点で降板。翌16日に再び登録を抹消されていた。
さるチーム関係者がこう言う。
「『中5日が短い間隔とは思わない』という原監督の方針で、開幕早々の4月から中5日で回るなどフル回転してきた。3度目の就任で5年ぶりのリーグ優勝を義務付けられた原監督の復帰により、エースで甥っ子でもある菅野は先頭に立って酷使に耐えてきたわけです。春先に本塁打を量産される試合が相次いだでしょう。最初の抹消は5月21日。その前の登板となった同15日の阪神戦でプロ入り後ワーストの10失点を喫するなど、六回途中までで11安打を浴びた。ここで腰が悲鳴を上げたが、実はその前から痛みを我慢しながら、時には痛み止めの薬を服用しながら投げていたんです」
CSで相まみえるのは、今季15勝10敗、東京ドームでも8勝5敗と圧倒している阪神だ。原監督が「相手が阪神でどう感じた? タイガースかって感じだよ」と満面の笑みを浮かべる相手。阪神にはDeNAのソトのような天敵もおらず、巨人には1勝のアドバンテージもある。手負いの菅野が無理をして登板する必要性はないように見えるが、今季11勝6敗、防御率3・89の菅野が先月の優勝会見で「正直、悔しい思いもありました。今年に関しては何一つ、貢献できてないなと思う」と正直な思いを明かすと、その横から原監督がこう割って入っている。