土俵際の攻防消えた…横綱鶴竜の「腰砕け」が象徴するもの

公開日: 更新日:

 今場所に限っては、激しい取組を期待するのは酷かもしれない。3月場所以来、4カ月ぶりに開催された大相撲7月場所。多くの親方衆は「淡泊な相撲が目立つ」と口を揃えている。

 今場所前は新型コロナの影響で出稽古が禁止。力士のほとんどが調整不足に悩まされている。その影響か、土俵際での攻防が鳴りを潜めている印象を受けるのは確かだ。

 20日の2日目は土俵際で逆転の突き落としを繰り出した琴勝峰、徳俵に足をかけて粘る栃ノ心を寄り切った魁聖などの奮闘はあったものの、それもごく一部。

「土俵際で大した攻防もなく、簡単に体が入れ替わる様子を見ると、攻める方も受ける方も『無理をしてケガをしたくない』という心理が働いているのでしょう」

 とはある親方だ。稽古不足は力士の相撲勘も奪っている。前出の親方は「その象徴が初日の鶴竜遠藤戦です」と、こう話す。

「横綱としては初めて『腰砕け』という恥ずかしい負け方をした鶴竜だが、遠藤にもミスがあった。遠藤はあの場面、重心が後ろ足に残りながら前に足を出すという、不利な体勢を自らつくってしまった。鶴竜がその隙を逃さずに裾払いを仕掛けたこと自体はいい。ただ、力加減を誤った。鶴竜は過去、相手の体勢を崩す目的の裾払いを何度か使っている。それがこの日は焦りもあったのか、まるで遠藤を足ごと刈ってやろうと言わんばかりの大振りだった。その足をすかされて……というわけです。両者ともに万全なら、裾払い自体がなかったかもしれない」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

  2. 2
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  3. 3
    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

  4. 4
    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

  5. 5
    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  1. 6
    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

  2. 7
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  3. 8
    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

  4. 9
    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

  5. 10
    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声

    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声