無観客を続行 日本ゴルフ界の問題は組織形態とファン不在
開催した7大会では徹底的な感染予防を施し、万一感染者が出たら補償まで用意し、ギャラリーには入場無料でさまざまなサービスを用意した。まさに「トーナメントは選手とファンが一体になってこそ盛り上がる」ことを実感させた。
日本野球機構やサッカーJリーグは政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で示された大規模イベント入場者制限の段階的緩和方針に基づき、それまで5000人にしていた観客上限を、10月に入ってから、各球場の最大収容人数の50%まで、引き上げるなどの方針に切り替えている。これで大勢のファンが球場で観戦できることになり、元気を取り戻しつつある。また世界一の感染者数の米国では、2020~21シーズン7戦目のバミューダ選手権から、限定ながらギャラリーを入れる方向に決定している。「ファンあってのプロスポーツ」という覚悟の表れだ。
だが日本のプロゴルフ界はこうした流れから大きく取り残されている。原因は組織形態の違いにある。日本のプロ野球やサッカー、米PGAツアーなどは全体を統一する機関が主催者で、全権限と責任を負っているのに対し、JGTOやJLPGAはあくまで大会を管理するだけ。すべての権限はスポンサーやテレビ局にある。だから大会の可否を決めるのは各大会のスポンサーやテレビ局である。コロナ禍で開催を強行すれば、企業やテレビ局のイメージダウンや、業績に影響する。中止や無観客にするほうが無難。人気の女子プロはともかく、男子ツアーが今季たったの5試合しか行われず、すべて無観客というのは、そうした理由からだ。だが、そこにあるのは決定的な「ファン不在」といえる。今年より来年が危ぶまれるのはそうした理由からだ。これを打開するには、プロゴルフ団体がすべての権限を掌握するしかないが、それには分厚い壁が立ちはだかっている。