巨人のキャンプ“時差集合”は無意味な日本流を見直す契機に
素晴らしい試みだと素直に評価したい。
巨人が来春のキャンプで「時差集合」を導入するというのだ。
プロ野球の「お正月」といわれる2月1日のキャンプインを見直し、ベテランや外国人を中心とした一部選手は6日にキャンプ地に集合。1月後半から行っていた宮崎での合同自主トレも中止にすると決めた。
実績や年齢が違えば、目標も課題も違うはずの選手たちが一斉に練習を始めて、同じメニューをこなす日本のキャンプには常々、疑問を抱いてきた。メジャーでは投手と野手で集合日が違うのが当たり前。全員が合流したら、1週間もしないうちに実戦練習が始まる。それに備えて、オフの間からおのおのが自主的にトレーニングを積む。日本のように朝から「イッチ、ニイ、サン、シー」と全員が声と足を揃えてランニングするようなことはない。
これが、プロの練習というものだ。
そこで、1998年に横浜ベイスターズの監督に就任した際、春のキャンプの練習を短期集中型に変えた。朝10時から始めた全体練習は、13時半には終了。実質、3時間程度で私も宿舎に引き揚げた。コーチから強制する特打や特守といったメニューも禁止。その代わり、コーチには「選手の方から希望してきたら、居残りでも夜間でも、相手の気が済むまで付き合ってやって欲しい」と伝えた。選手の自主性に任せたわけだが、サボるような選手はいなかった。暗くなってもこうこうと明かりのついた室内練習場から聞こえてくる打球音を耳にし、施設内にあった宿舎の自室でほくそ笑んだことを思い出す。