野村監督“独演90分”ミーティング「働き一両、考え五両」
野村克也監督は就任した1990年の米アリゾナでの春季ユマキャンプから「改革」を行った。
■ヤクルト就任1年目ユマキャンプ
これまで19時から20時半まで行っていた夜間練習に代わり、ホテルの一室で毎晩1時間半以上、後に「野村時間」と呼ばれるミーティングが開かれることになった。私たちはここで「野村の考え」を叩き込まれることになる。
開口一番「野球は頭のスポーツだ」と言った。そして、こう続けた。
「人は何のために生まれてくるのか。人間とは何か。生きるとは何か……」
ホワイトボードに要点を書きながら話し始める。野球の話が続くと思っただけに衝撃的だった。
みんなポカンとしていると、「何をボケーッとしている。メモをせんかい、メモを!」とピシャリ。
「書くことに意味がある。集中力が増して頭に残るんだ」
以降、全員にノートが配られ、私たちは必死にメモを取ることになる。