全柔連の密室体質 パワハラ隠蔽疑惑に評議員「寝耳に水」
「本件については寝耳に水でした」と、驚きを隠さず語るのは1992年バルセロナ五輪女子柔道銀メダリストで、全日本柔道連盟(全柔連)の評議員を務める溝口紀子氏。「本件」とは全柔連のパワハラ疑惑のことだ。
先月26日、産経新聞が全柔連内のパワハラ疑惑を報道。同日に開かれたJOC会長を兼ねる全柔連の山下泰裕会長(63)の会見によれば、組織内のパワハラ疑惑が報告されたのは昨年6月から8月にかけて。事務局内で起きた新型コロナウイルスのクラスターを調査する「コロナ調査委員会」が行った聞き取りの中で、パワハラ被害を訴える声が上がったという。
疑惑をかけられた職員は調査が進むと、昨年12月2日の出勤を最後に有給休暇を取得。その後、山下会長からの連絡を一切無視し、今年1月25日、有給休暇満了に合わせて退職した。全柔連は「連絡が取れなかったから」(山下会長)と疑惑を放置したばかりか、疑惑があったことすら公にしなかった。
山下会長は「(パワハラ疑惑が記された報告書は)昨年9月24日、事務局職員全員に送付しています」と組織の透明性を主張するが、前出の溝口氏は苦言を呈する。