「オレ流」落合監督の入閣打診 早すぎる前々年12月だった
投手からすればベストと言える、外角低めの際どいボールには、ほぼ手を出してこない。驚くことに、追い込まれていても、である。もし「ストライク」と言われれば、表情ひとつ変えず、そのまま打席を後にするから不気味だった。
■アウトローを振らない理由
当時は「絶対に見逃し三振はするな」と言われた時代。特にヤクルトは私が入団した際の土橋正幸監督、次の関根潤三監督に「ストライクゾーンを広げて、食らいついていけ」と口酸っぱく言われた。それなのに、落合さんは振ってこない。完全に割り切っているのだと気が付いた。実はアウトローは落合さんの弱点だった。確率が低いから振らないというシンプルな理屈である。
落合さんが悠然と見逃すと、これまでストライクだったコースがボールと判定される。三冠王3度の実績とオーラが、審判をも惑わしていた。
ロッテ時代から落合さんを知る関係者に聞いたことがある。
「『オレ流』って練習しないイメージで言われていますけど、本当にやらないんですか?」