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西村徳文野球解説者

1960年1月9日、宮崎県生まれ。右投げ両打ち。福島高(宮崎)、国鉄鹿児島鉄道管理局を経て、81年ドラフト5位でロッテ入団。プロ通算16年で首位打者1回、盗塁王4回。二塁と外野でそれぞれベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。97年現役引退後、ロッテでヘッドコーチなどを歴任し2010年監督就任。1年目にリーグ3位から日本一を達成した。16年からオリックスでヘッドコーチ、19年から監督を務め、昨季限りで退団。

落合さんを意識しないため相手ベンチを見ないことを心掛けた

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 6戦目の試合時間はシリーズ最長の5時間43分に及んだ。試合終了は午後11時54分。八回に2―2の同点に追いつき、以降、勝ちに行く中で勝ちきれなかった。ただ、試合が終わるまで、チーム全体が引き分けでもいい、などと消極的にならず、試合に負けなかったことは大きかった。

■引き分け翌日の選手の表情

 勝ちに等しい引き分けだと受け止めた一方で、翌日に向けて懸念材料がなかったわけではない。

 消耗戦と言える長い試合を終えて翌日の第7戦を戦うにあたり、選手の心身の疲労は少なからずある。王手をかけた立場であるがゆえ、今日こそ決めようと気持ちが入り過ぎる可能性もあった。

 しかし、翌日、ナゴヤドーム入りした選手たちの表情は、総じて穏やかだった。普段と変わらない様子で試合に向けた準備をしていると映った。前日の試合を引きずることなく、今日のこの試合へと気持ちを切り替えて臨んでいることがひしひしと伝わってきたのだ。

 私は監督に就任してから、選手たちには気持ちの切り替えが大切だと伝えてきた。切り替えるといっても、簡単なことではない。大きな失敗をすれば、翌日以降も気持ちを引きずりかねない。ただ、プロとして結果を残すには、試合での結果の良し悪しにかかわらず、気持ちを新たにして次の試合に臨むことが大切だ。それができる選手が多ければ多いほど、チーム一丸という形にもつながっていく。

 試合前、コーチ陣と相談した上で、初回から攻守ともに積極的に動いていこうと決めた。すべてはこの試合で決着をつけるためだった。 (つづく)

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