落合博満さんにこっそり聞いた「守備のポジショニング」
もし落合博満さんがロッテでプレーし続けていたら、と思うこともある。
■稲尾監督退任と同時に中日へトレード
私が在籍していたロッテは、3年間指揮を執った稲尾和久監督が1986年限りで退任。現役を引退したばかりの有藤通世さんが新監督に就任した。そのタイミングで、2年連続で三冠王を獲得していた落合さんが1対4の大型トレードで中日へ移籍することになった。何より稲尾さんと落合さんが強い信頼関係を築いていたことは、私のような若手にも伝わっていた。
稲尾監督の3年間、チームは2位、2位、4位。特に初年度の84年は、首位西武と39・5ゲーム差の最下位に沈んだ前年から躍進した。最終的に優勝した阪急に8・5ゲーム差をつけられたものの、一時は優勝の二文字が浮かんだ。
打撃に限れば、チーム打率は3年連続リーグトップ。私が初めて打率3割をマークした85年のチーム打率は・287を誇った。落合さんが打率・367、52本塁打、146打点という圧倒的な成績を残しただけでなく、リーさん、私、新人の横田真之と4人の3割打者を擁した。投手力は他チームより少し弱かったが、補強がハマれば優勝が狙えるとさえ考えていた。