選手を理解するために井口資仁を監督室に呼んで聞いたこと
数字による貢献はもちろん、他球団での素晴らしい経験を選手に還元してくれた。サブローや西岡ら後輩選手がいろんな相談を持ち掛けるチームリーダー的存在だった。
私も頼りにしていた。選手の考え方や心情を理解するため、何度か監督室に呼び、「連敗が続いているけど、雰囲気はどう?」「みんな前向きにやってます。大丈夫ですよ」という感じで、話をした。的確な意見はとても参考になった。
■決断に納得するかしないか
私はボビーが選手と積極的にコミュニケーションを図り、気持ちや体調の変化を感じ取ろうとしているのを目の当たりにしてきた。これを参考に、要所要所でグラウンドで選手に声をかけたり、食事を共にしたり、ときには監督室で1対1になって対話を重ねた。監督は、一、二軍の入れ替えや配置転換など、選手の野球人生を左右するような決断を下す。私は現役時代、首脳陣から事前に何の説明もなく開幕直前に二軍スタートとなったり、スタメン落ちしたことに憤慨したことがある。事前に一声かけてくれたら納得したのに……と、残念な気持ちにもなった。選手にはなるべく、自分のような思いをさせたくなかった。