著者のコラム一覧
六川亨サッカージャーナリスト

1957年、東京都板橋区出まれ。法政大卒。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年にサカダイを離れ、CALCIO2002の編集長を兼務しながら浦和レッズマガジンなど数誌を創刊。W杯、EURO、南米選手権、五輪などを精力的に取材。10年3月にフリーのサッカージャーナリストに。携帯サイト「超ワールドサッカー」でメルマガやコラムを長年執筆。主な著書に「Jリーグ・レジェンド」シリーズ、「Jリーグ・スーパーゴールズ」、「サッカー戦術ルネッサンス」、「ストライカー特別講座」(東邦出版)など。

戦火のウクライナと軍事侵攻のロシアに思うこと(上)

公開日: 更新日:

 2月24日以降、ロシア軍の軍事侵攻によって戦時下体制を強いられているウクライナ。

 日本を含めて欧米諸国の厳しい非難と制裁を受けながらもロシアのプーチン大統領は、戦闘を継続してウクライナに「降伏」を迫っている状況が、メディアを通して伝えられている。

 サッカー界ではFIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)が協議を行った結果、ロシア代表およびロシアのクラブチームに対して「FIFAとUEFAが主催する全ての国際主要大会への出場を停止する」ことを決めた。

■ロシアのカタールW杯出場はなくなった

 日本がカタールW杯アジア最終予選でオーストラリアと戦う3月24日には、W杯欧州予選のプレーオフが予定され、ポーランドはロシアと対戦することになっていた。

 しかしポーランドだけでなく、同じプレーオフB組のスウェーデンとチェコもロシアとの試合を拒否し、同国を除外するよう求めていた。

 今回の決定でカタールW杯が無事に開催されても、ロシアの本大会出場の可能性はなくなった。

 そしてロシア国内リーグの強豪スパルタク・モスクワも、UEFAヨーロッパリーグ(EL)のラウンド16でライプツィヒ(ドイツ)と対戦する予定だったが、この試合も今回の措置によってスパルタク・モスクワのEL出場は認められなくなった。

 テレビ、ネットなどから目や耳に入ってくるウクライナを思いを寄せる。もちろん一日も早い停戦とロシアのウクライナからの撤退が待たれる。

 2005年10月に短期間ながらもキエフに滞在したこともあり、首都キエフがこれ以上、戦火に追われることにならないように祈らずにはいられない。

ロシアのカタールW杯出場はなくなった

 日本がカタールW杯アジア最終予選でオーストラリアと戦う3月24日には、W杯欧州予選のプレーオフが予定され、ポーランドはロシアと対戦することになっていた。

 しかしポーランドだけでなく、同じプレーオフB組のスウェーデンとチェコもロシアとの試合を拒否し、同国を除外するよう求めていた。

 今回の決定でカタールW杯が無事に開催されても、ロシアの本大会出場の可能性はなくなった。

 そしてロシア国内リーグの強豪スパルタク・モスクワも、UEFAヨーロッパリーグ(EL)のラウンド16でライプツィヒ(ドイツ)と対戦する予定だったが、この試合も今回の措置によってスパルタク・モスクワのEL出場は認められなくなった。

 テレビ、ネットなどから目や耳に入ってくるウクライナを思いを寄せる。もちろん一日も早い停戦とロシアのウクライナからの撤退が待たれる。

 2005年10月に短期間ながらもキエフに滞在したこともあり、首都キエフがこれ以上、戦火に追われることにならないように祈らずにはいられない。

キエフでジーコ・ジャパンの敗戦を見届けた

 2005年10月12日、欧州遠征に出掛けたジーコ監督率いる日本代表は、キエフでウクライナ代表と対戦した。現地取材に赴いた筆者にとって決戦の地・キエフの街並みは今でも鮮烈な思い出として残っている。

 キエフの象徴として紹介されることが多い「独立記念塔」は、ドニエプル川西岸の高台にあり、いつも多くの人で賑わっていた。

 いくつもの噴水がある独立広場は、キエフ市街地の中心にある。この独立広場を見下ろすように建っている「ウクライナ・ホテル」に宿泊した。11階建て・全378室を誇る老舗ホテルは、旧ロシアから営業しているホテルらしく、各階のエレベーターを降りると通路の中央にセキュリティー担当の女性コンシェルジェが座っており、いつも厳しい顔つきをしていた。

 ウクライナとのテストマッチに臨んだジーコ・ジャパンは中田英寿中村俊輔柳沢敦や高原直泰ら主力メンバーで臨んだものの、終盤のMFアンドレー・フシンのPKによるゴールで0ー1と敗れた。 

 マッチアップを楽しみにしていたFWアンドリー・シェフチェンコら主力選手は、日本戦の4日前に行われたアルバニア戦に出場して初のW杯出場(ドイツ大会)を決めたばかり。日本戦は欠場したのは残念だった。

「ウクライナの矢」と言われたシェフチェンコはイタリア・ACミラン時代の2004年にドール(欧州年間最優秀選手賞)を受賞。引退後にはウクライナ代表監督としても2020年EUROでチームをベスト8に導いた。

ウクライナ協会職員チームと親善フットサル

 今回のロシアの軍事侵攻に対しては「国民と私の家族が攻撃にさらされている。ウクライナ国民は平和と領土の保全を求めている。どうか私たちの国を支援し、ロシア政府に彼らの侵略と国際法違反を止めるよう呼びかけてください」と訴えた。 

 キエフに滞在した10月は予想以上に寒く、ショッピングセンターでダウンを買ったこと、ウクライナ風ボルシチが美味しかったこと、あと日本のメディア陣チームとウクライナのサッカー協会職員チームが親睦フットサルをやった。

 いつもはフィールドプレーヤーとしてボールを追い掛けているが、この時はGKを務め、試合後にMVPに選ばれて記念のキャップをプレゼントされた。

 そんな懐かしい思い出が彼の地にはある。

 キエフ市内には、ソフィア大聖堂や聖ミハイル修道院といった歴史的建造物も多く、これらが戦禍に見舞われないように祈るばかりである。=つづく

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ