佐々木朗希も大谷やイチロー並みの“ブレない男” 球審を怒らせた肝の太さはメジャー向き

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 完全投球は「17」で途切れたものの、意外にも肝が据わっていると思わせたのがロッテの佐々木朗希(20)だ。色白のやせ形で課題は体力。ひ弱を絵にかいたような選手ながら、くだんの審判とのトラブルからはむしろ強心臓の一端がうかがえるのではないか。

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 24日のオリックス戦の二回2死一塁。打者を2球で追い込んでからの3球目、外角低めストレートをボールと判定されると、苦笑いを浮かべて人さし指を示しながら、あそこはストライクでしょうといわんばかりの態度を取ったのだ。

 これが白井球審の逆鱗に触れ、マウンド付近に詰め寄られる一幕もあったとはいえ、「佐々木朗希は自身のコントロールに絶対的な自信をもっているし、その是非はともかく、正しいと思ったことを貫く気持ちの強さがある。人からどう思われようと、何を言われようと、自分が納得しない限りクビを縦に振らない性格だと聞きました」とはロッテOBだ。

■山本由伸の影響

 プロ1年目のオフのこと。佐々木朗希はオリックスの山本由伸(23)に大きな影響を受けた。実戦でまだ一球も投げていないのに、自らの投球フォームを山本ソックリに改造、周囲を仰天させた。現場レベルが、おかしいだろうとたしなめても納得しない。フロント幹部直々に、「球団はおまえの高校時代の投球フォームを高く評価したからこそドラフト1位で指名したんだ」と説得に乗り出したものの、それでも元のフォームに戻したのは少しずつだったとか。2年目のキャンプで新フォームを試すも、どうにも制球が定まらない。自分にはその投げ方が合わないと納得してようやく、元に戻した経緯があるという。

「佐々木朗希が山本の影響を受けたのは投球フォームだけじゃないと聞いています」と、前出のOBがこう続ける。

「山本はウエートトレーニングをほとんどやらないそうですけど、佐々木朗希も筋トレには積極的じゃなかった。体のバランスを整えるトレーニングには熱心なのに、ウエートはさほどやってなかった。トレーニングコーチはエンゼルスの大谷を引き合いに出して、あの筋骨隆々の体を見ろと説得したようですけど、それでも積極的にならなかったといいますからね。昨シーズン終了後くらいから都内のジムに通ってまでウエートトレを熱心にやり出したのは、自分の体力不足を痛感したから。年間通じてローテを守るためには、筋トレも必要だと心底思ったのでしょう」

大谷は人の話にニコニコしながら実は「右から左」

 今回の審判とのトラブルを巡って、スポーツ紙は球審の神経を逆なでするような言動は得策ではないとか、メジャーでも感情は顔に出さない方がいいといった論調が目立つとはいえ、佐々木朗希は暴言を吐いたわけでも露骨な審判批判をやったわけでもない。

 あの大谷翔平なんか打席で、いまの球がストライクかと露骨にクビを振るジェスチャーをひんぱんに見せている。打者を三振に仕留めた直後の派手なガッツポーズはアンリトンルールでご法度といわれるが、メジャー1年目からヨッシャーとばかりに繰り返しこぶしを握りしめているではないか。

 そういえば大谷も松井秀喜もイチローも、佐々木朗希同様、頑固というか、自分が納得しない限り周囲の言うことを聞こうとしなかった。首脳陣から何を言われようと、自分が正しいと思うことを貫いてきた。

「大谷は外づらがバツグンにいい。日本ハム時代もコーチの話なんかニコニコしながらハイ、ハイと聞いてるように見えたけど、実際は右から左だったといいますからね(笑)」(球界関係者)

 審判はもちろん敵に回さない方がいいし、アンリトンルールに挙げられているようなことはやらない方がいいに決まっている。が、それより何より自分の軸をブレさせないことが重要だということを、先人たちは実証しているのではないか。

 心身ともにタフでなければ、メジャーでは生きていけない。審判を怒らせてもへっちゃら、自分が納得しない限り周囲の言うことを聞こうとしない佐々木朗希の心の方はすでに心配ない。

 25日、「少し疲れもあるようなので、抹消することにした」(井口監督)と、佐々木朗希は出場選手登録を抹消された。この日は2時間ほど体を動かし、今後は一軍に同行しながら調整を続ける。先々、海を渡るのに必要なのは屈強な体を手に入れることだけだろう。

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