ロッテ佐々木朗希5.6ソフトB戦先発決定 「8つの数字」で見る“令和の怪物”のバケモノ指数

公開日: 更新日:

 4月10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成したロッテ佐々木朗希(20)。13者連続奪三振の日本記録、1試合19奪三振の日本タイ記録をマークする圧巻の内容だった。球史に残る快挙を成し遂げた「令和の怪物」は、数字もバケモノ級だった。

■平均球速 159.8キロ

 完全試合を達成したオリックス戦の最速は164キロ。直球の平均球速は159.8キロだった。今季3試合での平均球速は159.1キロとなっている。メジャーでは記録の残る17年以降、平均の最速は昨年のジェイコブ・デグロム(33=メッツ)の99.2マイル(約159.6キロ)だ。

■奪三振率 15.00

 今季の登板5試合での数字ではあるが、毎試合(9回)で15個の三振を奪っている計算だ。「10」を超えれば一流といわれる中で、驚異的な数字。プロ野球でのシーズン奪三振率記録は、2019年にソフトバンク千賀滉大がマークした「11.33」。15年の大谷翔平日本ハム、現エンゼルス)が「10.98」だった。メジャーリーグのシーズン最高奪三振率は19年のコール(アストロズ、現ヤンキース)が記録した「13.82」。01年のランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)の「13.41」、1999年のペドロ・マルティネス(レッドソックス)の「13.20」と続き、名だたる伝説の投手たちが残してきた数字を大きく上回っている。

■ホップ成分 46センチ

 野球のデータ解析などを手がける「ネクストベース」が2018年11月に計測したデータでは、佐々木朗のホップ成分は「46」センチだった。0回転のボールと比べてどれくらい上方向に到達したかを示す値で、ホップ成分が大きければ大きいほど、打者が「球速以上に速い」「球に伸びがある」と感じることになる。プロ野球の平均は「44」センチ。佐々木朗は高校2年時ですでにそれを上回っていた。

■ゲームスコア 106点

 ゲームスコアとはセイバーメトリクスを提唱したビル・ジェームズ氏がつくった投手の指標。佐々木朗がマークした106点は完全試合での数字。50点からスタートして、1アウトを取るごとに1点。五回以降は1アウトごとに2点。三振を取るとさらに1点加算される。被安打1ごとにマイナス2点、与四球1はマイナス1点として計算する。

 最終的に40点で「補欠レベル」、50点で「平均的な投手」、80~90点台は「優秀」とされる。100点以上は異次元レベルで非常にまれ。

 1998年以降のメジャーで最高のゲームスコアを記録したのは、ケリー・ウッド(当時カブス)が98年5月6日のアストロズ戦で9回1安打完封、20奪三振をマークした試合の「105」。佐々木朗の完全試合はそれを凌駕した。

■K/BB 12.00

 奪三振数と与四球の比率。投手の制球力を示す指標のひとつ。一般的に3.5を超えると優秀といわれる。完全試合を含めた今季5試合での佐々木朗は12.00。今季5試合に先発した時点で3勝1敗、防御率1.22のオリックス山本由伸でさえ、K/BBは4.78。6試合に先発して3勝無敗、防御率0.80のソフトバンク千賀滉大も2.53。佐々木朗の制球力の良さが際立つ(数字は5月2日現在)。

■ストライク率 78.1%

 10日のオリックス戦での数字だが、昨年と比べてストライク率は約2.5%上昇。全105球のうちストライクゾーンに投じられた球の割合も60%に達した。

 1971年に完全試合を達成した評論家の高橋善正氏はこう言う。

「本格派は球が荒れる。松坂大輔、藤浪晋太郎にしても、大谷翔平にしてもそう。しかし、佐々木朗希は平均160キロに迫る剛速球を投げながら、制球力も兼ね備える。完全試合の日は初回から10球連続ストライクで、投じた105球のうちボール球はわずかに23球。3ボールになったのも1度だけだった。剛速球はもちろん、変化球を含めたコントロールの良さも評価したい」

■直球の回転数 2460

 10日のオリックス戦では直球の平均が約2460回転(1分間換算)、スプリットが約1150回転だった。プロ野球の直球の平均は約2200回転。メジャーの平均は2317回転(21年7月時点)。佐々木朗は2550に達するボールもあった。プロ野球のスプリットは約1400回転。平均より回転数が少ない佐々木朗のスプリットはその分、落差が大きくなると考えられる。

 野球の動作解析の第一人者である筑波大硬式野球部監督の川村卓准教授は、2019年4月のU18代表合宿で選手のデータを測定。そこで驚愕の数字を目の当たりにした。

「(佐々木朗の)球速は155、156キロほど出ていましたが、それ以上に驚いたのが回転数で、2500から2600もありました。高校生だと好投手でも2100~2200。プロの投手なら普通は2300、好投手になると2400ほど。2500となると、探すのが大変というレベル。それが(佐々木朗は)2500が普通でした」

■打者一人の投球数 3.89

 これも完全試合を達成した日のデータだ。1イニングの平均投球数は、11.7球。打者1人に対しては3.89球。最小限に近い球数で次々と三振を奪ったことになる。

*この記事の関連【動画】もご覧いただけます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    なぜ阪神・岡田監督は大炎上しないのか…パワハラ要素含む「昭和流采配」でも意外すぎる支持

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  4. 4

    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

  5. 5

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  1. 6

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 7

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 8

    日本ハム水谷瞬プロ入り時のコーチが明かす覚醒のカギ「(当時)フライはまともに捕れず、バットにも…」

  4. 9

    仁義なき「高校野球バット戦争」…メーカー同士で壮絶な密告合戦、足の引っ張り合い、広がる疑心暗鬼

  5. 10

    セクハラだけじゃない!前監督が覚悟の実名告発…法大野球部元部長、副部長による“恫喝パワハラ”激白180分

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  2. 2

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 3

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  1. 6

    くすぶっていた木村拓哉&新垣結衣“身長差問題”は杞憂? 「教場0」で相まみえるシーン複数

  2. 7

    昭恵夫人が講演で“固まる”珍事…参加者に旧統一教会の政治団体会員、質疑で安倍元首相を礼賛

  3. 8

    大谷がいちいち「大袈裟に球を避ける」のは理由があった!弱点めぐる相手投手との暗闘の内幕

  4. 9

    11日開幕エビアン選手権でわかる? 渋野日向子「完全復活」の試金石

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」