第4回WBCを辞退…あの時の大谷翔平のなんとも言えぬ表情が忘れられない
「謝ることなんかない。残念だけど、みんながあなたに期待している。自分の体、素材を大事にしなさい」
そして、球場入りしてすぐにボールペンで走り書きしたメモ紙を彼に手渡した。
<人間万事塞翁が馬>
大谷は紙を開くと、こちらに視線を戻してニッコリ笑った。
「なにが幸いするかわからない。今回のことが今後の野球人生に良く転ぶこともある」
そう言った言葉を覚えていてくれ、のちに「あれで気持ちが楽になりました」と周囲に言っていると聞き、むずがゆくなったものである。
WBCはシーズン開幕直前の3月に行われるため、調整の不安から日本代表入りに消極的な選手も中にはいた。しかし、大谷の言動からは、是が非でも出場したいという思いが伝わってきた。結果的に翌18年にエンゼルス入りするが、当時から米球界挑戦を意識し、国際舞台でメジャーリーガーと勝負がしたいという強い気持ちもあっただろう。それが、直前になってその機会を諦めざるを得なかった。