2年半振りに国際大会の現場に 埼玉ACL取材で“アジアの血”が巡り始めた
愛称「ザ・ラヴィッツ」。
タイの強豪クラブ、BGパトゥム・ユナイテッド(BG)が来日した。グループステージを勝ち抜いたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のノックアウトステージへ挑むために。
コロナ禍で既に2年5カ月もの間、海外渡航から遠ざかる日々。2020年3月、タイリーグ開幕戦の取材へ行ったのが最後、その時もBGを取材した。そんな折に舞い込んできたのが、ACL東地区の日本集中開催のアナウンス。
■来日したタイの強豪BGを追い掛けた
ACLはアジアカップと並び、個人的プライオリティの最上位にある。漢たちの浪漫を感じるコンペティションであり、迷わず現場取材を決意した。もちろんメインターゲットはBG。滞在中の彼らを追い掛けた。
さてBGとはどんなクラブなのか、簡単に説明しておきたい。
タイ王国パトゥムターニー県に本拠を置く、2006年に設立された新興クラブだ。2018年までオーナー企業名称をそのままに「バンコク・グラスFC」として活動していたが、2019年に現名称へ変更。2020年には2部降格を味わったものの、1年で1部へ返り咲き、その年にクラブ史上初となるタイ1部リーグ優勝を達成し、ACLでも初めてベスト16に進出した。
今までに多くの日本人選手が在籍したクラブであり、2012年3月にはセレッソ大阪とのパートナーシップを締結。現在もローン移籍中のチャウワット・ヴィラチャードがC大阪で奮闘している。
クラブの看板選手は、広島や清水でもプレーしたティーラシン・デーンダーでもなければ、タイ代表の中盤をも支えるサーラット・イーユェンでもない。美人揃いのラヴィッツガール(チアリーダー的なマスコットガールズチーム)で決まりだ。誰がなんと言おうと、それだけは絶対に譲れないことをハッキリと記しておきたい。
■手倉森監督の存在で注目度アップ
そして今、そのBGがなぜ注目を集めているのか、それは昨季途中に就任した日本人監督の存在故にだろう。
U-23日本代表、仙台や長崎などで監督を歴任した手倉森誠(54)が務めているのである。
【2022年8月19日・金曜日】 BGvs傑志FC(香港)@浦和駒場スタジアム
ジリジリと肌を刺す昼間の日差しもキックオフ時間には影へと代わり、スタジアムへ吹き込む夏風は、まるでタイの乾季を想像させる程に心地の良い風が吹いていた。
■タイの国立競技場にいるような錯覚に陥った
記者席にはタイからやってきたメディアで溢れ、試合中の際どいプレーがあるたびに彼らは「オーイッ」「アイッッとムエタイさながらにそう叫ぶ。その周辺からは日本語が聞こえてこない。タイ語ばかりが飛び交う一種異様な空気感があった。
もちろん筆者にしてみれば、どこか懐かしさを憶えるもの。一瞬、ここがスパチャラサイ国立競技場のような錯覚に陥ってしまった。
試合は終始、BGが流れを握る展開に。グループステージでは素晴らしいフットボールを展開した傑志もこの日は良いところなく、終わってみれば4-0の完勝でBGが準々決勝へと駒を進めた。
【2022年8月20日土曜日 準々決勝・組み合わせ抽選】
準々決勝の相手が浦和に決定した。浦和ファンの熱量は、タイでも良く知られた事実。そのホームでの公式戦に「選手もスタッフも興奮している」とBGチーム関係者が話してくれたが、勝ち上がることを考えれば、神戸や全北現代(韓国)が相手の方が、やりやすかったことは否めないドローとなった。