師匠を交代してから稽古場に下りた回数は片手で数えられるくらい
気にならないといえばウソですが、それでも私が稽古場にいない方が、今後の荒汐部屋のためになると判断したのです。
何度か稽古場に顔を出したことはあります。とはいっても、この2年半で片手で数えられるくらいの回数ですね。荒汐部屋には部屋付きの親方がいないので、師匠が仕事などで部屋にいないときは誰かが稽古を監督しなければいけない。やっぱり、弟子だけで稽古をさせると何が起こるかわかりませんから。
相撲協会を退職してからの稽古場というのも、これはこれで新鮮です。
そういえば、先日、ファンの方がツイッターで面白いつぶやきをしていました。
「荒汐部屋は師匠目線で稽古が見られる」
というものです。最初は意味がわかりませんでしたが、これは師匠が座る位置のことなんです。荒汐部屋は道路に面した部分がガラス張り。私や現荒汐親方は道路に背を向けた状態で、ガラス際にある木のベンチに腰かけて稽古を見る。ファンの方々や通行人はその背後で、ガラス越しに稽古を見る。つまり、私と彼らは同じ光景を見ているという、そのまんまの意味なんです。