関脇・若隆景の強みと不安 大関に最も近い力士の天性の素質
元師匠としての欲目を抜きにしても、現在もっとも大関に近いといえるのが、関脇の若隆景でしょう。
今年3月場所を12勝3敗で初の幕内優勝。そこから5場所連続で関脇の地位を守り続けています。
若隆景の武器は下から上への強烈なおっつけ。これで相手の上体を浮かせて、重心が崩れて軽くなったところを前に出る。183センチ、132キロと力士の中では大きい方ではありませんが、相手の下に入っておっつければ、体の大小は関係ありません。
■大学時代は50メートル6秒台
そうしたおっつけを支えているのは、強靱な足腰です。東洋大学時代は50メートルを6秒台で走った俊足の持ち主。長男の若隆元、次男の若元春の3兄弟の中で、一番体が柔らかい。特筆すべきは足首の柔らかさです。
相撲において柔軟性は非常に大切です。中でも腰、ヒザ、足首の3つは特に重要になります。これらが硬いと、重心を下げられないからです。腰を下ろしてヒザと足首をしっかり曲げないと……というよりも、足首がきちんと曲がらないと腰も下がりません。