ロッテ佐々木朗希の超進化を支える“規格外の負けん気” 逸話の数々に周囲も目をシロクロ
佐々木朗希(21=ロッテ)がまだ、筋力トレーニングをそれほど重要視していなかったころの話だ。
首脳陣のひとりはこのままじゃいけないと思ったのだろう。筋トレの必要性を訴えるために引き合いに出したのは、だれもが知っているようなメジャーでバリバリ活躍している剛腕投手の名前だった。
そこで佐々木に「見てみろよ、あの筋肉隆々のカラダを……」と水を向けると、
「でも、ストライク、入らないじゃないですか」
と答えたという。
くだんの投手はメジャーでも名うての速球派ながら、ときに制球に苦しむことがある。そこへいくと佐々木は160キロ超の剛速球を投げ、なおかつコントロールもいい。針の穴を通すとはいかないまでも、少なくとも四球に苦しむことはまずない。そのメジャーの剛腕投手と違って、自分は球が速いだけの投手ではない、だから筋肉をつけるより先にやるべきことがあると言いたかったに違いないが、それはともかく、次第に年間通じてローテを守るには体力や筋力が必要だと痛感するようになる。
いまでは都内のジムに通うほど筋力トレーニングに力を入れるようになったとはいえ、体はまだまだ発展途上。かけられる負荷も限られる。
本拠地ZOZOマリンのウエートルームで筋トレをしていたときのこと。佐々木がダンベルか何かを持ち上げていると、同僚から声をかけられた。
「そんな軽いのを挙げてるんだ……」
すると佐々木はこう言い返したという。
「(それでも)160(キロ)出ますから」
ロッテOBがこう言った。
「全力を出せば重いものだって持ち上げられるかもしれないが、ムリをしてケガをしたり、体のバランスを崩したりはしたくないと考えているのでしょう。まだ筋力が足りないことをだれよりも分かっている佐々木のせめてもの強がりですよ。佐々木はとにかく気が強いというか、彼の負けん気の強さはハンパじゃありませんから」