セガサミーは無念の退団…プロ並みだった環境と待遇、負けた時のシビアさ
私が東芝府中にいた時代は金属バットを使っていた。今、社会人野球は木製である。昔は「金属を使う社会人出身のスラッガーはプロでは大成しない」と言われたが、自分で言うのもなんだが、私はそれを覆したひとりとされる。だから「金属と木製とでは打ち方は違うのか?」とよく聞かれる。
答えは「イエス」だ。金属はバットの面をぶつける打ち方で、木製は逆にギリギリまで面を見せたらダメ。内側から振り抜かなければいけない。問題は実際の指導にどう落とし込むか。バットが内側から出る選手は少ないから、以前触れたように「革手袋を禁止」にして、しっくりくる位置を見つける。素手でバットを振り込むことによってマメができ、握った時のフィット感が生まれるからだ。こうして打撃を強化した。
社会人野球の2大タイトルは都市対抗と日本選手権である。
2005年創部のセガサミーは、私が監督に就任した13年12月の段階で都市対抗に6回出場して、初戦敗退が3度。最高成績は2回戦(08、09、12年)だった。日本選手権は過去2回出場して、いずれも初戦負け。就任1年目の14年の日本選手権も、戦前の評価は高くなかったが、初戦で延長タイブレークの末に三菱重工神戸に競り勝つと、あれよあれよという間に勝ち進み、準優勝を果たした。会社の期待は「全国制覇」と大きくなった。