僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」
それでも、阪神の二軍監督時代の岡田彰布さんは、そんな選手に活を入れていた。
「いいヤツがおったら、(一軍の)野村(克也)監督になんと言われようと、俺が絶対に一軍に上げたる」と選手を本気にして、実際に上に送り込んでいた。
ただし、「そこまで言って本気になれないようなやつは俺がクビにしたる」という迫力もあった。岡田監督は僕の理想の指導者である。
一軍監督の仕事は、でき上がった選手をやりくりして、勝たせること。二軍監督は、まだ成長途上の選手を育てることだ。
阪神やロッテで9年間コーチなどの指導者を務めて感じたことは、技術を教えることはそれほど難しくない。選手に合った打順で打たせたり、一番いいタイミングで一軍に上げることが、育てる上で大切なのだ。「人が育つタイミング」は存在する。せっかく成長している選手を本物にするためには、ふさわしい機会を与えることが必要。指導者はそれを逃してはいけない。
僕が2003年に首位打者、05年に打点王のタイトルを獲得した時、阪神はいずれもリーグ制覇を果たした。優勝するようなチームには、たいてい投打でタイトルを取るような選手がいるものだ。ドラフトから始まる選手の育成は、球団、一、二軍の共同作業である。
さらに、チームを常勝軍団にするにはレギュラー組と控え組の実力差をなくすこと。これが選手層になる。レギュラーが固定されているうちに、代走でも守備固めでもいい。若い次世代のレギュラー候補を試合に出し続けることが重要である。