宮城安総
著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

思わず見とれる“自然のデザイン”

公開日: 更新日:

「きらめく甲虫」丸山宗利著

 元来、昆虫に限らず図鑑の図版は手描きの「絵のチカラ」に頼るものが多かった。リアリティーや美しさに加え、分類上の「違い」を際立たせることが重視された。なぜなら、観察対象の各パーツを「見分け、名付け、関連付ける」作業こそが解剖学/博物学的の本質だから。原始的に見えても「手で描く」ほうが「細部を意図的に区別できる」ため、写真よりも好都合なのだ。

 一方、本書はピントや照明の問題など、撮影や画像処理の技術が向上し、写真の説明力が「図鑑の絵」のレベルに到達した成果といえる。しかも正確には通常の「写真」ではなく、念入りに切り出され、調整された「合成画像(CG)」と呼ぶべきものだ。というわけで、200点にのぼる昆虫の図版が絵でも写真でもなく、CGで構成されていること自体、陰の労力やコストも含め、じつはもっと評価されるべき出来事なのだ。

 さて、甲虫とはカブトムシ、テントウムシなどの仲間。地上で最も繁栄している生き物で、その種類は約37万。鳥類9000種、哺乳類4000種など、ほかと比べても圧倒的なバリエーションを誇る。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  2. 2
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  3. 3
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  4. 4
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  5. 5
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  4. 9
    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた

    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた会員限定記事

  5. 10
    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」

    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」