「社会保障クライシス」山田謙次著
2025年、75歳以上の高齢者は2200万人に達し、総人口の約18%を占める。これは団塊の世代800万人が後期高齢者となり、医療と介護に膨大な費用がかかることを意味する。しかも、それを支える40~50代は就職氷河期世代で、自らの生活基盤さえ不安を抱える者が少なくない。
本書は、団塊世代の高齢化と就職氷河期世代の生活不安のダブルパンチで、2025年には日本の社会保障が危機的状況に陥ることを示した警告の書だ。その年、社会保障費は41兆円となり、現在より9兆円上乗せして国債を発行しなければ回せない状況となる。しかし年金だけでは暮らせない高齢者が増加するため、貯蓄が減少して金利が上昇。こうなると従来の国債発行が不可能になるというのだ。
著者は危機回避のため、所得税の確実な捕捉や相続税の強化、医療供給体制の縮小、外国人による介護サービス、持ち家売却による介護費用の捻出などを受容する必要があることを指摘している。
(東洋経済新報社 1700円+税)