「幕末 暗殺!」谷津矢車、早見俊ほか著

公開日: 更新日:

 慶応2年12月、天然痘で亡くなったとされる孝明天皇。突然の病死とあって、巷には毒を盛られたのではないかという噂が流れていた。

 真実を何としても知りたいと考えたある青年将校は、真相を聞くべく外務卿兼右大臣の岩倉具視に直接疑問をぶつける。「わてが毒を盛ったとしたら、どないする?」と尋ねる岩倉に1年の猶予を与えられ、彼は参議を務める木戸孝允、日本語書記官のアーネスト・サトウ、海軍大輔の勝海舟、陸軍元帥兼参議の西郷隆盛、大蔵卿の大久保利通らに聞き込みを開始。それぞれの証言から導き出した真相は思いがけないものだった……。(「明治の石」)

 歴史時代小説の世界に、新しい風を呼び込むべく集まった作家集団「操觚の会」のメンバーが、幕末に起きた暗殺を題材にして描いた書き下ろし短編競作集。

 取り上げられているのは桜田門外の変、塙忠宝暗殺、清河八郎暗殺、佐久間象山暗殺、坂本龍馬暗殺、油小路の変、孝明天皇毒殺という、幕末期に立て続けに起きた7つの事件。暗殺事件の定説を見事に覆す新しい展開に、歴史推理ファンなら、ツボにはまること間違いなしだ。(中央公論新社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ