「ファクトフルネス」ハンス・ロスリングほか著 上杉周作ほか訳

公開日: 更新日:

 低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するか。A20%、B40%、C60%。答えはC。もっと少ないと思い込んでいた人が多いのではないか。

 本書の冒頭にはこうした3択問題が13項目並び、温暖化問題を除く12項目(貧困、教育、エネルギー、人口問題など)で、先進14カ国1万2000人のほとんどが正答率が3割以下で、例は最も低い正答率の問題。いかに我々の直感が現実と離れているか、つまり世界の現状を「悪い」方向で考えているかを指摘する。

 では、なぜ我々はそのように考えてしまうのか。医師として長年ユニセフや世界保健機関で活躍した著者のハンスは、それは事実に基づいて(ファクトフル)世界を見ることができていないからだという。世界は悪くなっているというネガティブな思考、パターン化や単純化などさまざまな思い込みによって事実を曲げてしまう。そんな思い込みを排すべく、本書には豊富な事例と統計を基に、この数十年間で世界の貧困率は急速に改善されていることが示されている。間違いなく、本書を読むと世界が変わる。

(日経BP社 1800円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 3

    楽天・田中将大の二軍テスト続行を明言…“外様”今江監督ならではの「常識的判断」

  4. 4

    「(菊池雄星を)高1で超えてやる」 天性の負けず嫌いが花巻東に進学した“本当の理由”

  5. 5

    斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て

  1. 6

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 7

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  5. 10

    斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”