<118>彩子がゆっくりと親指を立てて見せる
桃地は移植手術を終えた執刀医の志村に、深く頭を下げる。志村が困ったように眉根を寄せた。
「がんばって十分早く切り上げましたよ」
「え……?」
「奥さんに強く言われましてね。桃地さんは病院を十二時半に出ないと間に合わないんでしょう? 十二時までに終わらせろと」
…
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