「百姓・町人・芸人の明治革命」津田正夫著

公開日: 更新日:

「百姓・町人・芸人の明治革命」津田正夫著

 明治時代に「オッペケペー節」を歌い自由民権運動を広めた川上音二郎のパートナー、川上貞奴は、日本の近代演劇の基礎を築いた人物である。

 江戸時代初期には出雲阿国が始めた女歌舞伎があったのに、幕府が「風紀を乱す」と禁止したため、以後は女形が女役を演じるようになった。明治座で「オセロ」を上演した音二郎は、世界に通用する演劇を上演するために、「男女両性からなる役者集団」をつくろうと考えた。貞奴は帝国劇場をつくった実業家、渋沢栄一の支援を受けて、「帝国女優養成所」を開設し、女優の養成に当たる。日本では俳優をさげすむ風潮があり、女優の養成が芸者の育成と同じようにみられてさげすまれた。だが、貞奴の恋人といわれた福沢桃介(諭吉の養子)の協力を得て、シェークスピア劇を次々に上演する。

 ほかに、1884年に美濃加茂で起きた民権一揆など、庶民が体験した明治革命を検証する。

(現代書館 2420円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動