「男はつらいよ」佐藤蛾次郎が銀座で振る舞う「寅さんカレー」
「別名『寅さんカレー』ね。もともとは寅さんのスタッフや出演者のために作ったカレーで、高麗ニンジン、ニンニク、クコの実、ショウガなんかがたっぷり入ってる。渥美さんもうまい、うまいってよく食べてくれたよ。作ったカレーを1カ月寝かせ、さらにうまくしてるんだ。この前なんか、わざわざ北海道からカレーを食べに来たお客さんがいたよ」
■第10作「寅次郎夢枕」の撮影現場で結婚式
さて、佐藤さんは児童劇団を経て俳優デビュー。68年、山田洋次監督の「吹けば飛ぶよな男だが」で準主役に抜擢され、以後、いわゆる“山田組”の一員として「男はつらいよ」の第1作から関わった。
「全48作のうち、交通事故で出演できなかった第8作の『寅次郎恋歌』以外、すべてのシリーズに出てるよ。ホント、楽しかったねえ」
当然、おもしろエピソードには事欠かない。
「オレとヨメさんは第10作『寅次郎夢枕』の撮影現場で結婚式を挙げたのよ。カネがなかったもんだから、監督が仲人になってくれてね。共演者、スタッフ全員が祝ってくれた。これは忘れられない思い出だよ。あと、84年のロス五輪での聖火ランナーね。『走れ!走れ!寅次郎』でロスの街を1キロほど走ったのかな。ところが、どういう事情か知らないけどお蔵入りになって、幻の作品になっちゃった。代わって上映されたのが33作目の『夜霧にむせぶ寅次郎』だったかな」