球場で孤立…大島さと子を救った巨人藤田元監督の気遣い
でも、大学を卒業したばかりの新人がポン! と行ったので、番記者からは「何しに来たの?」という冷たい視線を浴びました。もう完全アウェー。拒絶されているのが肌に突き刺さるようにわかりました。また、この前年は長嶋監督解任問題の直後で、藤田監督にバトンタッチされ、王助監督、牧野ヘッドコーチのトロイカ体制がスタートしたシーズン。リーグ優勝、日本一に輝いたものの、年が明けても依然として藤田監督への反発があり、現場はピリピリしていました。
それだけに、まずどこにいたらいいのかわからない。最初はスタッフにくっついて挨拶していればよかったのですが、取材するとなるとそんなわけにはいきません。
番記者はベンチ前あたりから選手やボールの行方に視線を送っていたのですが、私はその輪に近づけず、少し離れたところに立って見ていました。多分、遠目に見ても心細げで不安な面持ちだったんでしょう。50歳だった監督にすれば私は娘ぐらいの年齢ですから、ふびんに思われたのかもしれません。監督の定位置だったホームベースの後ろのバックネット前に呼ばれ、冒頭の言葉をかけてくださったのです。思わず「いいんですか」と聞き返したほど驚きました。