渥美清<前編>“飴屋横丁”で働き身につけた寅さんの売り口上
「台東区上野(旧車坂町)出身で、芸人だけじゃやっていけないからアメ横に働きにいっていたんだ。アメ横は、もともと“飴屋横丁”といって飴屋が並んでいて、買い物客を引きつけるために面白いことを言わなきゃいけない。寅さんの売り口上は、その当時やっていた口調。横丁でも人気だったそうでアドリブもここで学んだんだね。流暢なテキ屋の語り口調ややくざの口上のようなものはうまかった」
▽松倉久幸(まつくら・ひさゆき)1935年、長野県生まれ。中央大学卒業。68年、東洋興業社長に就任。「浅草演芸ホール・東洋館(旧『浅草フランス座』)」を率いる。2018年、「江戸まち たいとう芸楽祭」実行委員会顧問に。新著に「起きたことは笑うしかない! 」(朝日新書)がある。
短所は気が短かったことだが、浅草時代に大病をした後、全く人が変わったという。